インドは多くの人にとって「カレーとタージマハルの国」というイメージが強いですが、実は言語こそが最も奥深く、そして驚くべき文化的多様性を象徴する要素です。
この記事では、インドに存在する公式言語・公用語・地方言語・方言・英語の役割など、インドの“言語マップ”を分かりやすく解説します。
インド憲法によって定められた公用語は以下の2つです:
ヒンディー語:デーヴァナーガリー文字を使用。インド全体で約43%の人が母語としています。
英語:補助公用語として認められており、政府機関・裁判所・高等教育・ビジネスで広く使用されています。
英語は“外来語”でありながら、現在のインド社会での影響力は非常に強く、いわば実質的な「準公用語」としての地位を持ちます。
インド憲法第8附表に登録された「22の言語」インドでは、憲法において22の言語が「認定言語」として登録されています。これらは各州での行政・教育・メディアに使用されており、憲法・公文書・議会でも使用可能です。
主な言語例:
この他にもオリヤー語、アッサム語、サンスクリット語、コンカニ語などが認定されています。
インドの各州・連邦直轄領は、自らの地域で使用する公用語を定める権利を持っています。たとえば:
タミル・ナードゥ州:タミル語(英語は補助的)
ケーララ州:マラヤーラム語
パンジャーブ州:パンジャーブ語
ナガランド州:ナガ語方言と英語
このように、地域ごとにまったく異なる言語文化圏が形成されています。
インドには、1,600以上の方言や言語が存在すると言われており、エスノローグの統計では400〜700の生きた言語が今も使用されているとされます。
例:
ラージャスターン語(Rajasthani):未だ憲法には登録されていないが、数千万人が話す
ブージプリー語(Bhojpuri):北インドの農村部を中心に数千万人が話す
サンタリ語(Santali):先住民族系の言語で、オリヤー文字やローマ字で書かれる
これらの言語・方言は、音楽・祭り・伝統文化の中で今も生き続けています。
インドの学校教育では、「3言語制度が採用されていることが多いです:
地元の州言語(例:ベンガル語)
ヒンディー語または他のインド言語
英語
この制度により、多くのインド人は3〜4言語を自然に話すというマルチリンガルな能力を持っています。
英語はインドにおいて、特に以下の場面で不可欠です:
政府・官庁書類や裁判所での記録
高等教育(大学・研究機関)
IT企業や国際ビジネスの共通語
映画・音楽・YouTubeなどでの普及
「英語=エリートの言語」という印象があった時代から、今では都市部の中間層や若者の“便利な共通語”となっています。
旅行者にとって重要なのは:
都市部や空港では英語がかなり通じる
地方や村ではヒンディー語または現地語が必要
簡単なヒンディー語(ナマステー、キットナー、パーニーなど)を覚えておくと便利
また、若い世代を中心にスマートフォン翻訳アプリの普及も進んでいます。
インドの言語文化は、まさに“ことばの博物館”。多様な宗教・地域・民族の中で、ことばは単なるツール以上の意味を持っています。
旅行者にとっては、言語を知ることでより深くインドを理解できるヒントとなり、ビジネス関係者にとっては、相手の母語を尊重することで信頼関係を築く鍵となります。